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よこしまブロッコリー「グルグルPlanet 六畳半と彼方のアイツら」

よこしまブロッコリー
「グルグルPlanet 六畳半と彼方のアイツら」
愛知県芸術劇場小ホール
04/08/14-15
作・演出:にへいたかひろ
出演:関戸哲也/中尾達也/浅野まど香/川畑沙織/平野百合江/黒田郁美/古川聖二/井池泰紀/大矢武志/澤村一間/野口真理/坂本紀子/阿部優也

 ある晩ヒサウチが家に帰ると見知らぬ娘がいた。何を聞いてもタダイマしか言わない彼女は、新しくはじめたデリヘルの女の子だと友人のカトーは言うが、帰る場所がわからない。一方、ヒサウチの弟は兵士として砂漠の国に派遣され、遭難して現地の部族の神殿に運び込まれていた。言葉の通じない相手と必死で意思疎通を図るが、やがてその村に軍の攻撃が始まる。

 面白かった。明確なドラマがあるわけではなく、二つの場所で起こる出来事が淡々と描かれているような舞台だが、何かが伝わってくる。随所に盛り込まれたギャグは素直に笑える。そして全編を通じて流れるのどかな、でもどこかに切なさを残す空気感は絶妙。

 日本で少しだけアウトローな生活を送る兄の元に現れた異国の娘と、言葉の通じない異国で捕らわれた弟。遠く離れた兄弟に並行して起こる非日常な出来事。自然体の演技に照明や音響の巧みさも手伝って、非常に心地よい雰囲気を生み出していた。特別ぬきんでた部分があったわけではないが、でしゃばらずすっきりと伝わってくる芝居だった。終わった後、もうしばらくその世界に浸っていたいと思った。

 あえて難を言えば、エンディングが素っ気無さすぎ。時節柄ビミョーにイラクを彷彿とさせるが展開上はあまり関係ない。娘の出身と弟のいる国が同じなのだが、結局それも特に意味を持つことなく終わる。え、これで終わり?と拍子抜けするほどクライマックスがない。無理に盛り上げるよりは好感が持てるが、もう少し結末らしい結末があってくれたほうが見やすいと思った。

 ただ逆に言えば、この状態で作品を完成にできるのは作り手に相当な自信があるということかもしれない。そして、その自信は決してうぬぼれではないと思う。

(#10)

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コメント

とにかく良い舞台だった。異なる文化と触れ合うことは危険でもあり、楽しみでもある。弟は命の危険に晒されながらの交流であり、異国の娘は終始にこやか。このギャップも面白い。
まるきり違う地域に住む人間をそれぞれの世界に放り込むことで、周りの人間が動き出す。最後にヒサウチが娘に迷惑をかけたと思うところが日本人的で面白かった。
関戸さんが絶妙、見事に場の雰囲気を変えてしまう相変わらずの好演技だった。

投稿: しおこんぶ。 | 2004.08.17 23:41

 この作品が何を描きたかったのか、二日経ってやっと理解できた気がする。でもあえて書かないことにします。もしかしたら再演があるかもしれないし。
 私が感じていたのは「切なさ」じゃなくて、きっと「もどかしさ」あるいは「やるせなさ」だったのでしょう。ともあれ、秀作だったのは確か。

投稿: #10 | 2004.08.16 21:41

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